コンサル業界ニュース

ホーム > 特集 > コンサルファームインタビュー > スカイライト、東京Vとの資本・業務提携を語る 第2回「ヴェルディ再生の鍵。スクール事業」

2015.06.05 スカイライト、東京Vとの資本・業務提携を語る 第2回「ヴェルディ再生の鍵。スクール事業」

コンサル業界ニュースメールマガジン登録


 

title-skylight

2020年東京五輪に向けスポーツ庁が創設されるなど”スポーツ”が熱を帯びている。そんな中、2月10日にスカイライトコンサルティングは東京ヴェルディ1969フットボールクラブとの資本・業務提携を発表した。スカイライトの狙い、出資に至る経緯、現在の支援や今後について伺ってきた内容を3回シリーズでお伝えする。
 
 
第2回ヴェルディ再生の鍵。スクール事業

当時入社3年目のコンサルタントだった栗原氏が、社長の羽物氏に送った一通のメールから始まったスカイライトのヴェルディへの出資。連載第2回は現在スカイライトがヴェルディにどのように関わっているのか?について探った。

[過去の連載はこちらから]
第1回「出資決定。そして成功報酬型のコンサルティング契約締結」

現在は、業務時間の100%をヴェルディへのコンサルティングに使っている

第1回の連載でお伝えした通り、栗原氏はスポーツビジネスに対してコンサルティングサービスを提供することを入社以来望んできた。栗原氏は自らがきっかけを作って、会社が実現させたヴェルディへの出資により、その夢をかなえている。現在は業務時間の100%をヴェルディへのコンサルティングに使っているという。彼は自らの希望を自らで掴んだ形になっている。

悪循環の中にあったヴェルディ

ph02
コンサルタントの栗原氏。中学時代は東京都代表にも選ばれたことがある。スポーツビジネスに対しコンサルティングサービスを提供するという想いを実現させた

栗原氏はヴェルディの経営をどう見ているのであろうか?栗原氏は「サッカークラブは一般的にフットボールセクションと、ビジネスセクションからなっているが、その両輪を回すことが大切。だが、ここ数年、ヴェルディは若手選手を他のクラブに移籍させた移籍金でなんとかやりくりしている状況になっていました。つまり、選手やチームの成長に会社(ビジネス)の成長が追いつかないという状況でした。会社の運営のために、可能性のある若手選手を放出しないといけない、そんな悪循環に陥っていました」と語る。

この悪循環を断ち切るためには、まずスクール事業を含むビジネスセクションでしっかりと売上・利益を上げ、チームに投資するという循環を作っていかなければいけない。栗原は「もちろん、チームが強ければ観客は来る。たとえばFC東京は日本代表の武藤などの代表メンバーが居て強くなり、スタジアムが満員になった。しかし残念ながら今のヴェルディに日本代表クラスのスターはいない。5年後にスターになりうる選手はたくさんいるが今時点はいない。そうなるとビジネスを回すためには、その試合の前後で、どんなイベントをやるか?とか、またどういうチケットを作って売るか?という工夫が必要になってくる」と語る。

その上で、栗原氏は現在支援しているスクール事業に注目した経緯を語る。「支援をしているスクール事業に関しては、ブランドが強ければ人が集まってきやすい。全盛期に比べると多少落ちているかもしれないが、それでもヴェルディにはJクラブとしてのブランド価値はある。また何より圧倒的な育成に関するノウハウがヴェルディにはあると考えています」と。

ヴェルディの選手育成のノウハウとブランド

ph03
東京ヴェルディの運営するサッカースクール。最新の人工芝グラウンド、ヴェルディの普及育成コーチ、日テレ・ベレーザ現役選手など、選りすぐりのコーチ陣が、トップチームと同じ環境で運営。写真は東京ヴェルディサッカースクールブログより。

Jリーグを牽引していたころのヴェルディをリアルタイムで知る羽物氏も、ヴェルディの育成ノウハウについて「ヴェルディは、以前から日本代表選手を出しているノウハウがある。それを上手くビジネスにつなげられる仕組みを作ることが大切です。スクール事業に関しては質の高いスクールを作ること。そして確実に施策を打てば、施策を打っただけの効果が出るというのが仮説です。」とする。スクール事業に関してヴェルディのブランド力は高いということだ。

実際、ヴェルディは昨年のJリーグアウォーズにおいて、指導者育成の優れたクラブに贈られる「最優秀育成クラブ賞」を受賞した。2011年の受賞以来3年ぶり2度目の受賞となり、唯一2回受賞しているのがヴェルディである。

さらに栗原氏はスクール事業のテコ入れの重要性を語る。「今年のトップチームの試合は年間42試合、そのうちホームゲームは21試合であり、つまり営業日が21日しかない。一方、スクールは地域に根差し、毎日営業している。ファン育成という視点で見ても、スクールに通うその子たちは潜在的なファン。生徒および親はクラブのファンになりうる」と。

スクール生徒数を増やすための施策を企画、実行

ヴェルディの小学生向けスクールは、練習グランドは人工芝と設備的にも素晴らしく、また、コーチは育成チームの監督も務めるJリーグS級ライセンスを持つ。「グランドとコーチは素晴らしく、余分な投資が必要ではない。スクールの生徒が増えれば増えるだけ利益率は上がる。生徒数を増やすめに、きちんとプロモーションをし、ターゲットに届くようなメッセージを発信していくことが必要」と栗原氏。

現在のところ2月の支援開始からの3カ月を過ぎたところだ。この3カ月は、事前に立てた施策に対し、効果があるかを試してきたところだという。栗原氏は「打ち手に対しては着実に成果が出ている」と述べる。

このような立ち位置で、スカイライトはヴェルディの支援に向き合っている。外部のコンサルタントの目を通して注目したスクール事業の改革、今後も注目してみたい。次回第3回目の連載は、ヴェルディ支援の長期的なビジョン。またスポーツビジネス全般に対する思いをうかがう。

[第3回連載はこちらから]
第3回「これからのヴェルディ、これからのスポーツビジネス」

(取材・文責/株式会社ワークスタイルラボ 真貝豪・河原英人)

コンサル業界ニュースメールマガジン登録


 

Related article

Pickup

Feature

~INTERVIEW~ 経営共創基盤の10年【第4回】コンサル業界の枠を超えたプロフェッショナルファームの実像

経営共創基盤(IGPI)の代表的な実績の一つが、東日本の地方公共交通など8社を傘下に持つ「みちのりホールディングス」への出資と運営だ。経営難の地方公共交通事業を再建しローカル経済にも貢献している意味でも高い評価を得ている事業。なぜ右肩下がりが続く構造不況業種の地方公共交通に出資したのか、どのように事業再生の成功にまでに至ったのか。みちのりホールディングス代表取締役の松本順氏(経営共創基盤・取締役マネージングディレクター)に聞いた。

2017.11.22

~INTERVIEW~ 経営共創基盤の10年【第3回】IGPIはなぜ「AIブーム」到来前から取り組むことができたのか

IGPIの多様な事業領域の一つ、「株式会社IGPIビジネスアナリティクス&インテリジェンス」(以下BAI)に焦点を当てた。BAIは、昨今話題のAI分野におけるIGPIの戦略子会社で、ビッグデータの活用やAI(人工知能)の最先端の開発を行っている。IGPIはなぜ現在のAIブームに先駆けてBAIを立ち上げられたのか、また、何が行われているのか、今回はその点を解き明かしていきたい。BAI代表取締役CEOの川上登福氏がその疑問に答える。

2017.11.17

~INTERVIEW~ 経営共創基盤の10年【第2回】IGPIが投資ファンドとは異なる投資主体である理由

過去に投資銀行でM&Aや投資アドバイザリーを行い、戦略コンサルティングファームで企業へのアドバイスを行ってきた後、経営共創基盤に参画した取締役マネージングディレクターを務める塩野誠氏に話を聞いた

2017.11.13

ページの先頭へ